油圧式パワーステアリングのメリットとデメリット
categoty:車検の点検整備について | Posted by: | 更新日:2017年11月10日 公開日:2017年11月3日 |
ここでは、油圧式パワーステアリングのメリットとデメリットについて分りやすくご紹介しています。
最近では、小型のエコカーを中心に、電動式パワーステアリングも増えてきていますが、少し前までは、この油圧式パアーステアリングが主流でした。
今でも、大型車では、この油圧式パワーステアリングがメインの仕組みとなります。
小型のエコカーを中心に採用が増えている電動式パワーステアリングのメリットとデメリットについては、こちらのページをご覧ください。
油圧式パワーステアリングのメリット
油圧式パワーステアリングの主なメリットは、次の4点です。
- 滑らかなステアリング操舵感(フィール)がある
- 古くから採用されているシステムのため、安心性がある
- 電動式と比べて、比較的安価に作ることが出来る
- 電動式に比べ、車重の重い車両でもコンパクトに作ることが出来る
滑らかなステアリング操舵感(フィール)がある
油圧式パワーステアリングのメリットは、滑らかなステアリング操舵感が得られるとう点です。
油圧式パワーステアリングは、トーションバーという部品がハンドルを回した量に応じて、ステアリングシャフトの動きをアシストする油圧ピストンに流れる油圧を調整するので、電動式パワーステアリングに比べて滑らかなステアリング操舵感が得られます。
車を運転する時にドライバーが感じる感覚で一番大きいのは、手で握っているハンドルから感じるステアリング操舵感です。
油圧式パワーステアリングは、一般車に普及してから35年から40年も経つのでこのステアリング操舵感を良くなるようにいろいろな改良がされています。
高級車の場合、このステアリング操舵感は、車を販売する上では非常に大きな要因となるので、高級車やスポーツカーなどは、油圧式パワーステアリングを採用する傾向があります。
古くから採用されているシステムのため、安心・信頼性がある
滑らかなステアリング操舵感でも書きましたが、油圧式パワーステアリングは、一般車に普及してから35年から40年も経つ間に、問題点などが解消され、油圧式パワーステアリングを構成する一つ一つの部品についてもいろいろな改良されているので、安心・信頼性があります。
電動式に比べて、比較的安価に作ることが出来る
普及して35年から40年も経過しているので、構成する部品の共通化や、コストダウンが行われているので、電動式に比べて、比較的安価に作ることが出来ます。
電動式に比べ、車重の重い車両でもコンパクトに作ることが出来る
電動式パワーステアリングの場合、車重の重い車両の場合、その車重に対応したサイズのモーターが必要になります。車重が重い場合、どうしても、モーターのサイズが大きくなります。
そして、電動式パワーステアリングの場合、そのモーターは、ステアリングのアシスト(補助)するため、どうしてもステアリングシャフトの付近に設置する必要があります。
その点、油圧式パワーステアリングの場合、油圧を作るパワステポンプは、車重が重い車の場合、軽い車に比べて大きくはなりますが、モーターほど大きくはなりません。パワステポンプは、ステアリングシャフトから離れて場所に設置しますし、何より、ステアリングシャフト付近の部品は、それほど大きくする必要はないので、ステアリング機構をコンパクトに作ることが出来ます。
この特徴から、大型車や、トラックなどの重量の大きな車には今でも油圧式パワーステアリングが採用されています。
油圧式パワーステアリングのデメリット
油圧式パワーステアリングの主なデメリットは、次の4点です。
燃料ロスがある(燃費に悪影響を与える)
油圧式パワーステアリングの場合、いつハンドルが操作されるか分からないので、準備のため、常にパワステポンプでパワーステアリングフルード(パワステオイル)に圧力を発生しておく必要があります。
パワステポンプは、エンジンからベルトで稼働しているので、エアコンと同様に、エンジンに負荷がかかるので、燃費にロスがあります。車によっても異なりますが、一般的に約3%から5%程度の燃費ロスがあると言われています。
部品の共通化が難しい
パワステポンプはエンジンからベルトで稼働しているため、エンジン形式や、搭載される車によって、どうしても専用部品が必要となります。
パワステポンプから圧送されるパワーステアリングフルードを送るパイプラインもエンジンと車によって、設計する必要があります。
このため、どうしても、油圧式パワーステアリングの場合、部品のコストダウンがしづらいというデメリットがあります。車検の時に、パワーステアリング関係の部品が意外の高いのは、このためです。
車速に応じてステアリングのアシスト量を調整するにはコストが発生する
油圧式パワーステアリングは、その仕組み的にエンジンの回転数に応じて、パワーステアリングフルードの油圧が変化します。
そのため、車速に応じてパワーステアリングのアシスト(補助)量を調整する車速感応式とする場合、別途センサーや車速に応じて油圧を調整する部品が必要になり、電動式で車速感応式を作ることに比べてコストが発生するデメリットがあります。
コストがかかっても、高級車やスポーツカーの場合、メリットでご紹介したステアリング操舵感(フィール)が車の個性となり、販売台数にも影響するため、車速感応式の油圧式パワーステアリングを採用する場合があります。
オイルを使用しているためオイル漏れやオイル交換が必要になる
油圧式パワーステアリングの場合、フルード(オイル)を使用しているので、どうしても、経年変化で、ポンプやオイルラインのゴム製品からのオイル漏れが発生する可能性があります。
また、パワーステアリングフルード(オイル)は、熱によって、経年劣化するので、ステアリング操舵感を維持するには、定期的なフルード(オイル)の交換が必要になります。